間違いないVSTドラム音源6選+オマケ【個性の殴り合い】
ドラム音源に悩みを抱えている人は多いでしょう。
もっぱら多いのがフリー音源では質が物足りないというものですね。
しかし有料のドラム音源は安くはないし、悪くはないんだろうけど全然方向性が違うから何が良いか分からない。
結果自分の思ったものが作れず後悔する人もいるかと思います。
そこで今回は様々なドラム音源を狂ったように触ってきた私が厳選して、本当に使えるものを紹介していきたいと思います。
この音源は初めてドラム音源を買おうとしている人や普通とはちょっと違ったドラム音源を探している人におすすめです。
ドラム音源の種類
音源タイプ
総合音源
様々な方向性のドラムが入っています。
収録されているキットの種類が多いのはもちろんのこと、プリセットのジャンルが豊富でどんな楽曲にも対応できます。
音源の質としては収録キット毎であったりプリセットのジャンル毎であったり、最悪なのは音源自体がピンキリなんてこともありますが基本的には平均点が高いものが多いです。
しかし状況によっては音源一つではイマイチということも多々あるので、他の音源やサンプルをレイヤーして音作りをするというのも選択肢に入ってくるでしょう。
特化音源
総合音源とは逆で、あるジャンルに特化したドラム音源です。(ダンスミュージックはサンプルパックから使うことが多いです。これらも後ほど簡単に紹介します。)
様々なジャンルのものがありますが、やはり打ち込みで作られることが多いメタル系に特化した音源が多い印象があります。
メタルの中でも細かいサブジャンルに特化したものや、実際の有名バンドのドラマーのキットを収録したものなどとても幅が広いです。
特別なことをしなくても曲の中で際立つドラム音源が多いです。
音源フォーマット
VSTi
もっとも一般的なVSTやVST3などのいわゆるプラグインとして使える音源です。
何かとプラグインで作られていた方が取り回しが良く使いやすいことが多いです。
サンプラー
専用のサンプラーに読み込ませるタイプの音源です。
一番ポピュラーなのがNative Instrumentsという世界的なメーカーからリリースされているKONTAKTというサンプラーです。
世界共通言語といっても過言ではないほど多くのアーティストに使われているサンプラーなので、ドラム音源以外にも様々な音源がKONTAKT対応でリリースされています。
KONTAKTには製品版とフリー版があり、フリー版にも対応しているものもありますが製品版しか対応していないものも多いのでよく確認しましょう。
Kontaktにシェアでは譲っていますが、他にもサウンドフォント・Halion・UVI Workstation等々色々なサンプラーがあります。
サンプル
いわゆるサンプルパックに入っているwavサンプルのことを指します。
基本的にダンスミュージックやそのドラムを使う曲に使用されます。
こちらも様々なジャンルのものが販売されており、その数は上記2つとは比べものになりません。
上記のサンプラーは元々はサンプルを読み込んで使うものなので、このサンプルを読み込んで使うというのも一般的です。
またドラム音源にレイヤーするために使われることも多いのでダンスミュージックを作らなくても持っておいたほうがいいでしょう。
ドラム音源厳選おすすめ6選
Toontrack / Superior Drummer 3
(電子ドラムとセットの方がリアルさが分かりやすいかも)
2021年現在の最強ドラム音源の双璧を成すのがこのSuperior Drummer3です。
なんといっても最大の特徴が音の良さ。
録音を担当したのがジョージマッセンバーグさんという方なのですが、なんとこの方パラメトリックEQを生み出した人なのです。(パラメトリックEQはいわゆるみんなが思い浮かべる普通のEQ全般みたいなものです。)
輪郭と立体感がしっかりあって息を呑むような美しさがあります。
プリセットも個性が強いものが多いのですが、特に作った人の趣味なのかメタル系とジャズ系が多い印象がありますね。
しかしあまりに音が良すぎるのは弊害もありまして、合わせる他のトラックが生半可なものであればドラムだけが浮きすぎるという幸せな問題もあります。
音の良さだけで言えば、生半可なスタジオで生半可なドラマーが叩くよりも良いというのが往々に発生してしまうほどです。
Toontrackの製品でもあるので有料のエキスパンションも豊富です。
メジャーで分かりやすいものからニッチなものまで豊富にありますが、メタル系とガレージ系が多い印象ですね。
しかも実質下位バージョンであるEZ Drummerのエキスパンションも使用することができるので幅の広さもドラム音源界随一でしょう。
ドラマー的にも中々にマニアックなドラムを扱っていて見ていて面白いと思います。
さらにトリガー機能も有しており、これを使えば録音されたドラムのデータをmidiに変換することができます。
なので例えいつもドラムを生録していたとしても、このSD3があればその録音された素材をmidi化しSD3の音をレイヤーして音を強化することもできるわけですね。
これは他のドラム音源ではあまりないもので、大体はトリガー専用のプラグインを買うことになるのでお得と言えるでしょう。
難点としては上記の音が良すぎてというのと、価格が高いというのも挙げられるでしょう。
定価が日本円で4万円ちょっと、海外のサイトで買えばそれよりも安い時もあれば高い時もあります。
これは今回紹介するものの中でも一番価格が高いならまだ優しく、ドラム音源全体でもトップクラスに高額な部類となります。
しかし高い分効果は絶大、必ずや力になってくれるでしょう。
XLN Audio / Addictive Drums 2
人気という部分だけで見れば今回紹介するものの中だけに止まらず、ドラム音源の中でもトップクラスと言えるでしょう。
何と言っても最大の魅力はそのコストパフォーマンスの良さ。
1万円ちょっと(バージョンによってはかなり前後します)という比較的安価な価格の割にそこそこのかっこいい・それっぽい音が手に入るということで、初めて買うドラム音源の筆頭としてよく紹介されています。
音作りについてあまり深く考えずともそれらしい音が出るということでプロの間でも本番でそのまま使わないにしてもデモの時短要員として使われているのはよく見ますし、なんならそのままリリースしているものも珍しくはありません。
欠点としては単純に音のリアルさでは欠けるということですね。
生のドラムの音というよりはAddictive Drumsの音という感じが強いです。
これを払拭するには打ち込み段階から入念にmidiを作り込み、音作りやミキシングでもかなりしっかりしたサウンドメイクをする必要があります。
価格が安いので最初の音源としてかなり敷居が低いでしょう。
もしかしたら使ってるうちにもっとリアルなものも欲しくなる時が来るかもしれませんが、そうなったとしてもデモの時短用やレイヤー用として腐ることはないでしょう。
Room Sound / Beau Burchell Signature Series Drums
SaosinのギタリストでありエンジニアでもあるBeau Burchellがプロデュースしたドラム音源です。
デモ音源ではメロディックハードコアな曲で演奏されていますが、ハードコア全般やアニソン系なんかでも使っていけるでしょう。
一番の魅力は海外のメロディックハードコアで聴くような音をサクッと出せるということですね。
ああいった音は録音段階から楽器を選びつつさらに音をレイヤーして作ることが多いのでしょうが、そこまでこの音源だけである程度まで近付くことができます。
さらに内蔵のエフェクトが中々に優秀で、分かりやすい操作且つ分かりやすい音でキットを強化してくれます。
欠点としてはこれを言ってしまうと元も子もないのですがKontakt音源だということですね。
音源自体は日本円で1万円ちょっとくらいですが、さらにこれに持っていない人は単品で5万3千円のKontaktが必要になります。
Kontaktはバンドルにも入っているので入手法は単品買いだけではありませんが、持っていない人にとっては中々に高いハードルと言えるかもしれません。
しかし一度Kontaktを手に入れてしまえば一気に世界が広がるのでこれを機に手に入れてしまうというのも手です。
Beau Burchell Signature Series Drums
PRISM / Modern Pop Drums
洋楽のポップスなんかでよく聴く完全なシンセドラムではなくアコースティックのような質感を持つドラムがあると思いますが、あれに近い音をサクッと出すことができる音源になります。
結論から言うとあのドラムはアコースティックにシンセドラムをレイヤーして作られていることが多いわけですが、やっぱりいつもそれをやるのは面倒というのもあるかと思います。
その部分を大幅に時短できるのがこの音源というわけですね。
欠点としてはやはりKontakt専用であるというところでしょうか。
あとはGUIがドラムの画像ではないのでその分若干分かりづらい可能性もあります。
Premier Sound Factory / Drum Tree
日本のかなり尖った音源を多くリリースしているメーカーPremier Sound Factoryはドラム音源においてもちゃんと尖っていることを証明してくれました。
思わず海外の人風にこういった言い回しをしてしまうほどこの音源は尖っており、ジャズやソウルを打ち込みで作るならこの音源が最強と言ってしまっても過言ではないでしょう。
最大の魅力はその音の濃密さ。
普通サンプリング音源は24bit 48kHzがベーシックですが、なんとこの音源は96kHzつまりハイレゾで録音されています。
ただ音が綺麗なだけではなく音の雰囲気や臨場感というのがそのまま伝わってくるようです。
ミックス・マスタリング済み音源というのも納得というものです。
ジャズ系がハイレゾで録ってるのにも関わらず、さらにはわざと音を汚すのもポリシーに反するとまで言ってるのにやはり年代感をかなり感じる仕上がりになっているのは、それだけヴィンテージのドラムを録音で正確に捉えてるということなのでしょう。
欠点といえば価格でしょうか。
定価は3万円台に突入しており、Superior Drummer3には及びませんがそれでも高い方です。
しかしKontakt音源ですが無料版にも対応しているのでわざわざKontaktを購入する必要がないというのが救いですね。
ジャズ系に比べて収録数は少ないですがロック系もなかなかに強い雰囲気を纏っているのでマッチすれば最強となれるはずです。
Rattly and Raw / Martin France Drums
最強ジャズ特化音源でこれも忘れてはいけません。
ジャズドラマーMartin Franceのドラムを再現したジャズ特化音源と言っても差し支えないかなり尖ったサウンドを持っています。
上記のDrum Treeよりもさらに個性が強く、言われずともそのまま楽曲に使ってしまいたくなる魅力があります。
2本目の動画のセッションは圧巻の一言です。
逆に言ってしまうとこの表現力は打ち込みだと持て余してしまう可能性が高いです。
やはり動画の通り実際に録音したものをトリガーでmidi化するなり、電子ドラムでmidi録音したものの出力用というのが一番この音源を活かせるかもしれません。
しかしジャズのドラムを打ち込みで練りたい人にとってははこれほどジャズに特化した表現力を持つ音源もそうないと思いますので楽しいに違いないですね。
価格は平時で1万円ちょっとほどでセールも行います。
さらにKontaktの無料版にも対応しているのでかなり導入の敷居は低いでしょう。
電子ドラムを持っているドラマーにも大変おすすめです。
【オマケ】サンプルパック編
Vengeance-Sound / Vengeance Essential Clubsounds vol.4
恐らく日本で一番有名で、一番買われている超定番のサンプルパックです。
クラブサウンドなんて書いてありますが、バチバチにポップスやアニソンなんかで使われまくっています。
ドラムなんかは単体で聴くと正直もう古いなという感想が出てもしょうがないところまで来ているかもしれませんが、やはりレイヤー用としてはとても優秀でアコースティックドラムにレイヤーするのはもちろんシンセドラム同士をレイヤーさせるのにもとても向いています。
なんならキックをそのまま使えば10年前くらいのアニソンみたいな雰囲気を出すことができるので(実際に使われているので)そういった使い方もおすすめです。
キック・スネア・シンバル・FXを何も考えずこのサンプルパックから抜き出したらfripsideみたいな仕上がりに簡単になりました。
J-POPやアニソンはここ10年くらいはこのサンプルパックの質感で出来上がってきた部分も否定できない部分はあるかと思いますので、それらを作るならこのサンプルパックはマストで買っておくべきとも言えますね。
価格が他のサンプルパックより高めなのでそこは注意が必要です。
クリスマスにはセールをやります。
Vengeance Essential Clubsounds vol.4
Drumforge / Drumshotz Joey Sturgis
メタルドラムに関する多くのものをリリースしているDrumforgeのワンショットサンプルシリーズ、その中のJoey Sturgisがプロデュースしたものになります。
Joey Sturgisは恐らくメタルコアのエンジニアの中でも特に有名で、ここで多くは書きませんがWikipediaを見てもらえばメタルコアをかじったことがあれば知っている曲が一つはあるかもしれません。
このDrumshotzシリーズはかなり優秀で、そのままドラム音源として使ってもいいのですが大元のドラム音源やレコーディングしたものにレイヤーする使い方で威力を発揮します。
ポップスやアニソンなんかでも前に出ないスネアなんかにパワー与えてあげるような使い方でかなり変わってくると思います。
私もいくつかこのシリーズを買っているのですが、その中でも一番使っているJoey Sturgisを今回はピックアップしてみました。
まとめ
なんだか終わってみれば若干ジャズ贔屓かもしれません。
ドラム音源はメタルやジャズなんかも特化音源が多いわけですが、その二つは本当に雰囲気が大事でただドラムの音がしてれば良いというジャンルでは全然ないわけですね。
なのでこの二つが多いのは納得できるかなと思います。
最強ドラム音源の双璧をなすBFD3が入ってないことに突っ込まれる方もいらっしゃるかもしれませんが、BFD3はプリセットの評判があまり良くなくリアルであることには変わりありませんが慣れてない人がかっこいい音を出すのはかなり難しいので今回は選びませんでした。
またメジャーどころは少し外そうと思って膨大なKontaktの音源の中からはマイナー目な音源を選びました。
しかしそういう意図がなければ間違いなくGet Good Drums各種やDrumdrops各種なんかは入ってくるのではないかなと思っています。
この記事がお気に入りのドラム音源をを見つけるきっかけになれば幸いです。