上品で自然なサチュレーションKazrog True Ironをレビュー+使い方

プラグインエフェクト

上品で自然なサチュレーションKazrog True Ironをレビュー+使い方

 

ブラックフライデーで買ったはいいが年内では一度も開くことはありませんでした。

しかし年が変わりましてそういえば買ったと思い出しインサートしてみたらあら不思議、「なんで年内最後のマスタリングで試さなかったんだろう?」と思ってしまうくらいには面白いプラグインです。

 

Kazrog True Iron

 

良いところ

複数のトランスをエミュレート

 

アナログ機材にあまり詳しくない人は馴染みがないかもしれませんが、トランスというのは日本語で言うと変圧器です。

変圧器(へんあつき)は、交流電力電圧の高さを電磁誘導を利用して変換する電力機器電子部品である。変成器(へんせいき)、トランスとも呼ぶ。電圧だけでなく電流も変化する。変圧器は静的な(可動部がない)機械であり、周波数を変えずに電力をある電気回路から別の電気回路に転送する[1] 。

交流電圧の変換(変圧)、インピーダンス整合平衡系-不平衡系の変換に利用する。

Wikipediaより

 

アナログのアウトボードやらギターやベースのアンプやらに音が入る前にはこのトランスを通っています。

トランスにももちろん種類があってトランスによる味付けというのももちろん存在するわけです。

コンソールやアウトボードのレジェンドであるNeve氏はトランスのデザインは芸術というようなことを仰っているので、有るか無いかもしくはその作りによって与える影響というのは大きいということです。

 

本機はそんなトランスをエミュレートしたサチュレーターないしはトランスシミュレーターです。

なんとトランスを6種類も搭載しており、歪にバリエーションがあります。

とは言っても私はトランスに詳しいわけではなく、知っているのはヴィンテージのNeveに入っていることで有名なマリンエアーのみ。

True Ironはリリース当初実装されたトランスの種類は4種類でしたがバージョンアップによって今はマリンエアーの1166Aというのが実装されています。

Babelson AudioのFD3NというNeve系のサチュレーターを所持しているのですが、それがマリンエアーのトランスを結構推していてそれとTrue Ironを比較するとやはり音の傾向は近いです。

フワッとした質感になるのですが高域がやや奥に行き全体として奥行きが出るイメージです。

プラグインだとどうしてもやりすぎるとべちゃっとしたりバキバキに歪みやすかったりするのですが用量を守って使うとこの系統でしか出せない独特の質感を得ることができます。

これはただのNeve系とは違ってより分かりやすく違いが出るので音楽ジャンルも選びますがハマるジャンルはトコトンハマります。

 

個人的にはマスターに使うと程よくローミッドから下が厚くなりつつ高域は自然にワイドになるので気に入ってしまいました。

 

とは言っても上記で述べた通りクセが強いので合わないことも多々あります。

そんな時は111Cというモデルにすれば大体は解決します。

そもそもこのTrue Ironはどのモデルのトランスにしようと挿すだけでローミッドから下が増えて音に迫力が出るようになります。全てのトランスで共通ということはトランスというのはそもそもそういう性質が有るということなのでしょうか。

そしてこの111Cは比較的他のモデルよりも高域にかかる歪が少なめでバキバキに歪ませても他よりも大人しいという特徴があります。

他の方の記事でも触れられていますが基本的に本機はトランスによる高域の歪が奇数倍音ばかりなのでかけても抜けが出るような効果は期待できず、縦に伸びるというよりは横に伸びて飽和させるようなイメージです。

その横の伸び方が大人しいのでもっともクセが少なく汎用的で何にでも合うというわけですね。

さらに今のバージョン2になってから搭載されたMORPHスイッチを押すと偶数倍音が伸びるようになるので抜けを出すことができます。

元々の奇数倍音が少なめなのでスイッチを推した場合偶数倍音が分かりやすいというのもこのモデルの使いやすい点です。

実際プリセットを見ていてもこのモデルを使っているものが多いのでそういうことなのでしょう。

 

自然で上品なサウンド

 

サチュレーターって簡単そうに思えてその実めちゃくちゃ難しくて、いかにワザとらしくならないようにするかというのは悩むことも多いかなと思います。

もちろんジャンルや楽器にもよるので一概には言えませんが、それでもサチュレーターにも色々有るので必ずしもコレを使っておけばいいなんていうものは無いかと思います。

そんな中でこのTrue Ironはどんな特徴を付与できるかというとまさに高級なバッファーを通したようなサウンドになるという感じです。

他のエフェクトでも高級なバッファーを通したような感じにする機能があったりするのですがまさにそれと同じように全体的に綺麗に纏まるようなイメージです。

 

この纏まるというのがかなり肝で、纏めるならコンプレッサーは?というのもあるかもしれませんがコンプはあくまで音を潰すので音を変形させるのですがサチュレーターは音に音を足すので元の音が変わるわけではありません。

なので原音の劣化というのがなく純粋に乗っかるエフェクトの音によって変わってきます。

 

このTrue Ironは本当にその乗っかる音が上品で作品のクオリティーを大きく上げてくれるように感じます。

 

簡単

 

最近の歪系エフェクトはマルチバンドが多い中でシングルバンドということもあって非常にとっつきやすい見た目だと思います。

調べなければ分からないようなスイッチは少しあれど、基本的な部分は少し触れば理解できるものです。

 

使い方

CRUSH

 

左から順に行こうと思います。

まずはCRUSHノブから。

名前からも分かる通り歪の量をコントロールします。

選択したトランスのモデルに対応した倍音がノブを回しただけ付与されていきます。

すぐ横にある×2スイッチはそのままで歪の量が2倍になります。

思い切りバキバキに歪ませたいときは使いましょう。

 

UNITY⇄BOOST

 

このスイッチは入力のインピーダンスを変更できます。

BOOSTにするとその名の通り入力量がブーストされます。

 

STRENGTH

 

入力量を調整できます。

前述のUNITY⇄BOOSTスイッチと組み合わせて入力量を調整しサウンドを作りましょう。

 

MORPH

 

このスイッチを押すと偶数倍音が増えます。

具体的なことを言うと音の抜けがよくなります。

 

VOICING

 

6種類からトランスのモデルを選択できます。

各トランスの詳細は分からないので割愛ということで......

ただそれぞれ比較的違いは分かりやすいのではないかと思います。

元ネタのトランスは分からなくても雰囲気で選択でOK。

 

DNA

 

VOICINGの下にあるスイッチです。

リリース時は無かったようなのですがバージョン2となった現在付いているスイッチです。

このスイッチを押せばCPUをさらに使う代わりに実機の挙動を再現することができるということです。

コレが本当に素晴らしくデジタルのサチュレーターはかければかけるほどのっぺりしがちというか輪郭が実機に比べ曖昧になっていきがちなのですが、このスイッチを押せばヘッドルームが広くなるような感じというかのっぺりしがちだったところに余裕ができて輪郭が感じやすくなります。

 

MIX

 

Dry / WetもしくはMIXノブとよく言われるものです。

エフェクトと原音との比率を弄ることができます。

バキバキに歪ませてこのノブでいい塩梅に調整というのはよくある手法です。

 

OUT

 

最後はOUTノブです。

単純に最終的な音量、アウトプットを調整します。

エフェクトで大きくなった・小さくなった音を元に戻します。

 

最後に

 

このKazrogというメーカーはリリースしているプラグインの数も少なくあまり日本では聞かない部類に入るのではないかなと思うのですが、その割にはこのTrue Ironの日本語記事はわりかし多いので純粋にこのエフェクトが評価されているということなんだなと思いました。

 

元々の値段もそう高くはありませんが年に数回まあまあのセールは行うので急ぎでなければその時に購入するのがやはりおすすめです。

 

Kazrog True Iron