Plugin Allianceの中でも特に評価の高いチャンネルストリッププラグインであるLindell Audioの80 Seriesを今回はレビューしていきたいと思います。
Neve系のプラグインを探している、素晴らしいチャンネルストリップを探している、80 Seriesについて詳しく知らないという方に本記事はおすすめです。
Neveについて
Neve Electronics (ニーヴ) は60年前の1961年にルパート・ニーヴ(Rupert Neve)によって設立されたレコーディング・スタジオ及び放送局スタジオ向けのミキシング・コンソールと、そのモジュール類などを設計生産していた音響機器メーカー。1985年、シーメンス・グループに買収され、その後29年前の1992年にはシーメンス・グループの傘下で、AMS [1] 社と合併し、現在では AMS Neve となっている。
Wikipediaより
Neveはその名の通りNeve氏が作っていたコンソールです。
Neve氏が会社を離れて紆余曲折あり存続していますが、一般的にNeve系のプラグインでよくモデルとなっているのはNeve氏が在籍していた頃のものでOld Neveと言われたりしています。
プリアンプ・EQでは1073や1081、コンプレッサーでは2254や33609がよくプラグインになっています。
同じPlugin AllianceにあるBrainworx社のbx_console NというチャンネルストリッププラグインはOld Neveと現行Neveの中間時期のものですが、本作はOld Neveに焦点を絞って制作されています。
良いところ
Old Neveを完全再現
80 SeriesはOld Nevveと呼ばれる1073 / 1084 / 2254らを一つにまとめたチャンネルストリップです。
各エフェクトは試していただくと分かる通りそれぞれリッチな仕上がりになり素晴らしいのですが、やはりNeveの心臓といえばトランスですね。
マリンエアートランスの味付けがNeveの味付けと言っても過言ではありません。
全体的にフワッと広がるようなワイドさにふくよかなローエンドが加わり独特の粘り気を産みます。
1084との切り替えが可能
大人気の1073EQはもちろん素晴らしいのですが、3バンドということでサウンドのバリエーションとしては多くはありません。
そこで1084という異なるEQの切り替え可能という点が光ってきます。
1084は1073と比べてやや大人しめではあるのですが、1073では周波数が固定だったハイシェルフがある程度周波数に自由が利くようになり、フィルターにローパスフィルターが追加されます。
キャラクターが濃い
これは良くも悪くもという感じではあるのですが、とにかくキャラクターが濃くてどんな音楽ジャンルにも合うとは言い難いです。
さらに言うと独特の粘り気が特徴にもある通り、あまりBPMが早いとスピード感が失われる原因になるのでミドルテンポ以下がよく合うと言えるでしょう。
個人的にはジャズやファンク、ミドルテンポのロックやポップスなどで強烈な雰囲気を出せると思っています。
TMTやユーティリティー性が強い
当サイトではなんども名前が出るTMTやTHDの機能はやはり絶大です。
これのおかげでミックス全体に立体感が生まれやすくなります。
またユーティリティー性も高く、コンプレッサー部には実機にはもちろん無かったDry / Wetノブが付いているので現代的な手法を使うことができる他リミッター機能もこれのおかげで使いやすくなりました。
またアンプ部分のUNITYスイッチを押せばアンプで音量が上がった分自動的に音量を下げてくれます。
さらにLindell Audioのチャンネルストリッププラグイン特有なのですが、色々エフェクトがくっついたコンソールのプラグインと、アンプ部分のみのBussと名前が付いたプラグインが一緒に付いてきます。
アンプ部分のみとシンプルなので歪ませる用途であればこちらでもいいかもしれないし、名前の通りにバストラックに挿してみてもいいと思います。
最後に
1073や1084などは単体のプラグインはたくさんリリースされているのですが、チャンネルストリップともなるとそう多くはありせん。
このPlugin Alliance特有のTMTやTHDが付いたOld Neveのプラグインというのは待望でもあったと思うので評価が高いのも頷けますね。
またこのプラグインはセールで50ドル以下には基本下がるのでかなりコスパの高いプラグインとも言えるでしょう。