NEOLDのプラグインコンプレッサーV76U73をレビューしていきます。
元ネタはドイツの今はマイクなどで有名なTelefunkenが1960年代に放送向けに開発したクラシックなマイクプリとコンプレッサーです。
真空管タイプ
アナログのコンプレッサーは大きく分けて4つのタイプに分けられます。
V76U73はその中の真空管タイプに分類されます。
最近でこそ幅がある感じではありますが、1960年代当時の真空管コンプレッサーは基本的に速いアタックと遅いリリースで、コンプのキャラクターというのが非常に強く出る物になっています。
また真空管特有のサチュレーション効果も大きな特徴です。
主にこの真空管のサチュレーションを狙って使われることが多いタイプのコンプレッサーです。
搭載されている真空管によってもサウンドキャラクターが違います。
良いところ
使うのが簡単(分かれば)
まずできることの幅が少ないです。
これは普通に欠点に当たるかもしれませんが元々のモデルがそういうもので、そのキャラクターを入れるために使うものなので欠点にはならないと思います。
基本的にはコンプにどれくらいの量を入力するのかだけを考えれば使うことができます。
アタックが実機通りのFastかAutoの2種類。
Fastがかなり早めで引っかかってる感をすごく感じられるかと思います。
ではなくもう少しナチュラルなかかりが良いなという場合はAutoにすればいいので簡単ですね。
(それでも比較的早めにかかります)
リリースだけ選択肢が多くてちょっと迷いどころかもしれませんが、実機に実直に行くなら黒字の中で選ぶことになります。
また実機のキャラクターをより意識するなら長めのリリースにするのがおすすめです。
なので基本は1.2を基準に適宜調整というのが個人的にはしっくりきました。
U73コンプを初めて見た人だとちょっと取っつきにくいUIに見えるかもしれませんが、なにせできることが少ないので覚えればすぐです。
音に迫力が出る
真空管コンプは色んな種類がありますが、その中でもより分かりやすく音に迫力が出るのがこの元の実機の特徴ではないかなと思います。
特にレコーディングしたけど実際に生で聴いた時より平面的に感じる時や、アコースティックなパートを打ち込みで作った場合も音が比較的平面的になりやすいと思います。
そういったソースにこのV76U73をかけることで音が一気に生っぽくなって迫力が出ます。
ユーティリティー
さすが新しめのPAのプラグインです。
実機にはないユーティリティーな機能も搭載されています。
まずはやはりこういったキャラクターが濃いエフェクトなのでDry/Wetは欲しいところですよね。
定番のサイドチェインフィルターも付いています。
これは3段階から選ぶ方式なので、自由度は低いですが楽なので良し。
またこのコンプはメイクアップゲインを上げることでも倍音が乗ってしまうので、音に影響しない別の音量操作ノブとしてトリムノブを入れてくれているのも気が利いていて良いなと思います。
まとめ
キャラクターが濃く、役割が比較的はっきりしているコンプレッサーです。
コンプをバイパスすることでサチュレーターとしても使うことができます。
私個人は打ち込みのソースはもちろん、このコンプはリリースが長い方がおいしいなと感じているので、ベースやボーカルなどリリースを長くすることが多いソースにも積極的に使用しています。
最初の取っつきにくささえ取っ払えれば非常に使いやすくおすすめのコンプレッサーです。