Roland Cloudから突然発表された新作ソフトシンセ『Zenology』
でも分からないことも多いしプラン内容なんかも複雑で様子見中なんて人も少なくないのかなと思います。
そこで今回はシンセにZenologyだけを使ってProgressive Houseを作ってみたのでそれを見つつレビューをしていきたいと思います。
Zenology Only Progressive House
今回のレビュー用にサクッと1ドロップだけプログハウス作ってみました。聴いてください!
正直今までそんなにEDM作ってきたわけではないし、プログハウスも3曲くらいしか作ってないので有識者からすれば慣れてない感が半端ないのかなと思いますが、全体的にEDMらしい音にはなっているのではないかなと思います。
※流石にすべてZenologyだけでというのは無理だったので、ドラム・FX・エフェクトは外部のものを使っています。
Drum & FX
DrumとFXですが今回は『Vengeance EDM Essentials Vol.1』と『GHOSTHACK Platinum Producer Bundle 2019』を使用しました。
ドラムは大体GhosthackでFX類がVengeanceだったかなと思います。
目立つ音というよりかはベーシック寄りな馴染みの良い音を選びました。
FXはまあ、いいよね......
ブレイク
使用したプリセットはStringsがEXZ007 Orchestraの「Real Strings」、Piano PadがXV Collectionの「WarmVoxPiano」、リードがAX Collectionの「Trance Synth」、ARPがAX Colletionの「S-Saw Stac Pluck」となっています。
曲の構成的に柔らかめの音が多めとなっています。
特にPad系の音ですが流石にモダンなEDM得意シンセではないので今時の分厚いPadはちょっと厳しかったです。(Jupiter8やJX-3Pなんかは分厚いの出ますが流石に古臭さはあり、現在のZenologyはエフェクトしか弄れない完全なPCMなので今回は使いませんでした。)
ビルドアップ
使用したプリセットはピアノがXV Collectionの「Piano Thang」、リードレイヤー1がEssentialの「Strings Stacc」、リードレイヤー2がFactory Presetの「S-Saw StacPluck」、ベースサブがSynth Legendの「SL-Jn60 Bs3」です。
ドロップのリードがちょっと音抜いて入ってくる感じです。
ストリングスとARPは引き続き入っています。
やはりピアノはこのジャンルと相性が良いです。J-POPでKORGと並び腐る程使われただけあります。J-POPでの硬いピアノブームが終わってからはEDMやクラブ系にこの音色は主戦場を移しましたが使われ続けている音がそのままでとは言いませんがバッチリ出せちゃいます。
ドロップ
使用したプリセットはリードレイヤー3はEssentialの「Trance Saws」、ベース1はSynth Legendの「SL-JP8 6」、ベース2は同上で「SL-JP6 10」です。
リードとベースそれぞれ纏めたものも載せました。中々にEDMしているのではないでしょうか?(もうこのセリフがEDM作り慣れていない感ありますね)
プリセットの名前的にトランス系の音色で落ち着きましたね。プログハウスは元々トランスの音色がそのまま持って来られたりしているのでしっくり来るのは必然ですね。
エフェクト
もっと早く言えよって感じだと思うのですが、分かる人が聴けば分かると思いますがシンセすべての音にOTTが挿してあります。
流石に今風の音が沢山入っているわけではなくRolandの過去の音がソフトシンセ化されてるものはほぼほぼ入っている感じなのでそのまま使うのはジャンル的に厳しいですね。
じゃあ古めのテクノ風みたいなの作ろうと思っても公式のデモが基本そういう方向なので同じの作ってもなんだかなぁという感じなので今回はこういう方向になったというわけです。
逆に言えばちょっと古めの音だけどその気になればOTTとかソーセージとか挿していくらでも使えるという感じな訳ですね。
現在の無印Zenologyは波形の編集が出来ず完全なPCM機なのでOTT頼りみたいな感じになってしまいましたが、2020年秋にリリース予定だというPro版は波形も編集できるとのことなのでまたこの辺の評価は変わってくると思います。
音作りはOTTの他にSausage FattenerとEquick、空間系でSolemn TonesのRoomやLexiconのRandomhallなど使っています。
OTTについてはこちらで解説をいているのでよろしければ↓
ミックスでは簡単にEQでローカットや住み分け、ドラムバスでバスコンプ、各バストラックでテープを薄く、マスターでShadow Hills Mastering Compressor Class AとT-RacksのOneで簡単にマスターを作りました。
ダッキングはLFOToolです。
レビュー
良かったところ
とにかく生音系が使いやすかったです。ピアノ系にストリングス系などなど。
あまり目立たないところで鳴らしたりレイヤー用にピッタリだと思いました。今回で言えばレイヤーとしてという感じですね。
特にリードレイヤー1のストリングスのスタッカートが本当に良くて、EDM的にはNexusのエキスパンションがこの用途では人気ですが全然遜色ないというか張り合えるなと思いました。しっかりローミッドも出つつかなりドライで単体で聴いても様になります。
シンセは今回トランス系のプリセットを使っていますが、時代柄と言いますか抜けよりは濃密さの方が目立つなといった感じです。リードの目立つポジションにメインとして使うのには今だと役不足かもしれませんがミドルが厚いパッド系なんかはかなり使いやすいのではないかと思います。
どれも基本的にはレイヤー用として即戦力に使えると思います。現状プリセットを選んで内外のエフェクトでちょっと調整するぐらいなので作業スピードとしてはかなり短縮出来ました。
良くないと思ったところ
今回ベースだけはちょっとどうにも出来なかったかなと思っています。プログレハウス的にはかなり役不足な出来になってしまったのではないのかなと。
今回の音色選びはプリセットをしっかり色々聴いて吟味したというよりかは使えそうなものをはめていった感じなのですが、ベースに関してだけは比較的聴いたのですが今回の用途に合うものは見つけられませんでした。
サブベースなんかはこのプリセットを使うよりも単純に元のSine波形をそのまま使う方が結果は良かったかなと思います。
現状ベースは20年前に戻って使うのが良さそうです。
さらにPluckでプリセット検索してもらえば分かると思うのですがPluckのプリセットがかなり少ないです。
且つ使いやすくはあるのですが存在感にかけるものが多いので今時のPluckというよりかはアルペジなどのフレーズで使うのが良さそうですね。
またストリングに関しては抜けがいいものが揃っていますが総合的なリアルさや濃密さではライバルであるKorgのTRITONに軍配が上がるかなと思います。どちらが使いやすいかなどはもちろんケースバイケースですがストリングス単体で考えると総合音源のストリングスとしては物足りない部分もかなり出てくるかなと思います。(例外でスタッカートはめっちゃ良いです)
総評
ポップスでもクラブ系でもバリバリ使えるしその気になればモダンなEDMにも使えるのであり寄りのあり!
クラブ系でトランスやハウスなどではかなり雰囲気出ると思います。
また実際多く使われていた年代を意識した曲を作る場合ならもちろん優先的に採用できると思います。
特にドラムがかなり年代感を出せるので音源モジュールを使わなくてもモジュールドラムサウンドを使うことができるというのはかなり使いたくなるポイントです。
エキスパンションも今後定期的に追加されていくとのことなので現代的な音も出せるようになるかもしれませんし、より専門的なプリセットが追加されるかもしれません。
かなり未来があるシンセサイザーなのは間違いないと思います!
Roland Cloudのプランについて解説しました↓